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                                                                   ――建築家・迫慶一郎さん

【第36回】

     建築家の迫慶一郎さんは、2004年に北京で設計事務所を立ち上げた。以来、中国を中心とした世界各地で独創的な作品を次々と世に送り出している。さらに現在、四川地震の被災地に無償で幼稚園を提供するボランティア活動を行っているという。この幼稚園についての詳しい情報は、SAKO建築設計工社のウェブサイト(http://www.sako.co.jp/news/news_top_jp.html)から知ることが出来る。

    ガラス張りのビルが立ち並ぶ建外SOHOに迫さんのオフィスはある。この建外SOHOこそ、迫さんが中国に進出するきっかけとなった建築だ。


     中国に来たきっかけを教えてください 。

     建外SOHOというプロジェクトがあって、当時所属していた建築事務所からコンペティションに参加し、選ばれたのがきっかけです。それが2000年の国慶節でした。

     それまでは中国に特別興味があったというわけではなかった?

     何もなかったですね。当時建築デザインの先端は日本と欧米にあって、中国に対してはほとんど目が向いていなかったです。2000年の頃は誰も注目していませんでした。最初に来たときはイメージとかなくて。ホントに、人民服着て、大通りを自転車でというイメージしかなかったんです。

     その後、独立され、北京に事務所を設立されました。中国と日本では建築方法が違いますか?

     全く違います。根本的なところは、土地が国有地なんですよね。日本みたいに狭い敷地に個人の一戸建てを建てるという計画はないんです。となると、とても大きな建築プロジェクトか、内装の仕事が個別であるかの2つです。両極端で、どっちかしかない。

     なるほど、確かに北京で一戸建てを見たことはありません。

    日本だと、個人の施主から要望を出され、「後はお任せします」となるんですが、中国の大型プロジェクトの場合、ディベロッパー(開発業者)という大きな組織が全てを管理するんです。そうなると、設計者が書いた図面どおりに最後まで行くことがあまりない。ディベロッパーの考えが変われば簡単に変えちゃうんです。

    だから、日本の有名建築家が中国で仕事すると、変更ばかりで満足できないことが多いんです。ぼくはここで長いので、そうならないようにできるだけ先回りをしたり、辛抱強く対処しています。でないといいものが出来ないし、出来ないとぼくがここでやっている意味がない。日本でやるより何倍も大変なんですけどね。

     大型プロジェクトのほかに、店の内装も手がけていらっしゃるんですか?

    はい。内装でこころがけているのが、「中国でしか出来ないものをつくる」ということ。

    中国には、日本のような先進的な技術、ものづくりの環境、職人、最新の材料はないけれど、世界に真似できない状況がある。人件費の安さです。つまり、手間をかけて物を作ってもそんなに高くならない。先進国がまねできないような手の込んだものを作ることが出来るんです。

    それがはっきり現れたのがこの杭州のブティックです。


杭州ロマンチシズム2

    これは全て手作りです。こういう有機的なものは工場ではできず、現場でひたすら手作りするしかないんです。

    この写真をオランダのインテリア雑誌「FRAME」の編集部に送ったところ、「すごい」と返事が来たんです。「中国にこんな複雑なカタチを作る機械があるんですか?」と聞かれたのがうれしかったですね。ローテクだけど、ハイテクでもつくれないものをつくれた。中国の状況をうまく利用してつくったという集大成ですね。

    僕は「中国ブランド」、「中国でしか作れないもの」を作ることを目指しています。「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕る猫はいい猫だ」というトウ小平の有名な言葉がありますが、それをもじって「中国の建築家でも外国の建築家でも、中国ブランドの建築をつくれるのはいい建築家だ」という話をしていて(笑)

    つまり、外国人だけど、「中国ブランド」を作っているんだと。中国人じゃなくたって、「中国ブランド」を作って世界に発信していけば、世界における中国建築界のプレゼンスが高まる。そこに貢献したいです。中国で、一緒に中国ブランドの建築をつくっていきたいという思いをわかってもらえたらと思います。


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网友    一中国人として、一建築に携わる者として、迫さんに敬礼します。
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