経済|社会・生活|政治|文化・科学技術|中日交流|評論|写真|動画|特集 

現在位置:
バックナンバー

                                                                               ――添田修平さん

【第22回】

     中華人民共和国の建国前に設立された中国国際放送(北京放送局)はこれまで、さまざまな言語で世界中の人々に中国の事情を伝えてきた。このラジオ局のアナウンサーを40年近くも勤め上げた日本人がいる。1963年に中国にわたった添田修平さんだ。中国と日本の交流がほとんどない時代から、隣国に思いを寄せる日本人に向けて、添田さんはその声を送り続けた。文化大革命、改革開放、経済成長。変わりゆく中国とともに生きた添田さんに話を聞いた。


     添田さんが中国にいらっしゃったのは1963年、今から46年前になります。その後、北京放送局で40年近く勤務し、中国のめまぐるしい変化を身をもって経験することになるわけですが、まずは、中国にいらっしゃる前のことについてお聞かせください。

    1929年生まれで、神奈川県の大磯出身です。戦争が終わった頃はちょうど学生をしていました。東北大学で経済学を学んだ後、早稲田の大学院でロシア文学などを専攻しました。アルバイトをしながら学校に通っていたもので、学費が出せないものだから、卒業証書をくれない。結局、一年延ばして3年で卒業しました。その後、出版会社や学校、電波通信社などに勤務しました。

    中国に来た1963年は、添田さんが34歳の時ですね。

     その頃は、日本と中国はまだ国交関係を回復していないでしょ。東京では日中国交回復国民総決起大会などが開かれたりして、全国的に運動が盛り上がっていました。田中角栄首相と周恩来総理が1972年、日中両国の関係正常化と外交関係の回復をした。その前ですから、中国にとっては抗日戦争の継続とも言えるわけです。

    中国への強い思い入れがあったのでしょうか。

    結局、40年以上を中国で過ごすことになったわけですけれども、もともとはソ連に行きたかったんです。ロシア文学を学んでいたという経緯もありますが、どんな国づくりをしているのかとても興味があった。モスクワ放送局でアナウンサーの募集をしているということを聞いて、アナウンサーの学校に通いながらソ連行きを準備していたんですが、渡航に必要な書類がなかなか来ない。そのうちに中国からも放送局の話があって、こっちはすぐに書類が来た。私も若かったものですから、ロシアにしても中国にしてもどちらも好きで、新しい国の様子を見てみたいと思ったんです。「じゃあ中国に行ってみよう」と希望に燃えていました。

    奥さんの内海さんもご一緒だったんですよね。

    彼女は当時、うたごえ運動(※)で職場のリーダーをやっていたんですね。ですから彼女の方も、新中国への関心、期待でいっぱいでした。

    お二人とも理想に燃えていらしたわけですね。中国はどちらから入国されたんですか。

    中国がチャーターしたノルウェーの貨物船が横浜を通って上海に向けて出るということで、日中文化交流協会を通じてそれに乗って行ったんです。出発の時は、友だちや兄弟や親戚が横浜港まで見送りに来てくれて、互いにテープを持って別れを惜しみました。横浜から名古屋、神戸、門司を通って上海に行きました。荷物の積み降ろしもあったので9日くらいかかりました。

    日本ではその頃、うたごえ運動や芝居・劇などが民間でとてもさかんで、「わらび座」という民俗劇団が秋田にあったんですよ。その劇団がやっぱり中国公演に招待されていて、船が一緒だった。船の中で仲良くなって、北京の公演は私も見学したことをおぼえています。

1963年9月、横浜港を出発

    中国に到着されてからはいかがでしたか。

    上海港には中国対外友好協会の人たちなどが、「東京・北京」の歌を合唱しながら、「中日両国人民の戦闘団結万歳」と書いた大きな横断幕を高々と掲げて迎えてくれました。「わらび座」の50人ほどの団員と感激して胸が熱くなりました。その夜は上海の和平飯店に泊まって、翌日、わらび座の面々と一緒に飛行機で上海から北京まで行きました。この飛行機が小型だったこともあって、ひどく揺れるんですよ。船でも酔ったし、飛行機でも酔った(笑)。

    ※うたごえ運動:1950年代に日本全国で盛んになった社会運動の一つ。平和への願いや新たな社会への希望を反戦歌や労働歌の合唱で表現した。運動の主体は地域や職場のサークルが担っていた。


ページ  1234
japanese[网友]    偉い人ですね。
japanese[网友]    素晴らしい....
コメントを書く
【最新予告】書に見る心 和田廣幸さん
「標準日本語」の鈴木一郎、留学アドバイザー、書道教室の先生、鑑定士など様々な顔を持つ、書道家・篆刻家の和田さんに書への思いを語ってもらった。(7月6日に掲載)
(21)日本人研究者に交流の場を 山口直樹さん
(20)俳優の道 三浦研一さん
(19)胡同に住み、その運命を伝えるフリーライター 多田麻美さん
(18)中国全省を駆け巡った駐在生活 大岡俊文さん
(17)環境コンサルタントで働く 川口晶子さん
アンケート
どんなジャンルで活躍する方のインタビューを見てみたいですか?
ビジネス関係全般
語学・教育関係
環境保護関係
芸能・文化関係
その他
どのジャンルも見てみたい